薄い扉

2004年6月10日
旦那が思い描いていた入院設備とは全く異なった異空間。
私が思い描いていた病棟風景には到底及びもしない柔らかな空気。

薄い自動ドアから一歩踏み込むと
そこだけゆっくりと時間が流れていることが見て取れる。
うつろな目をしてただぐるぐる回っている女性、
異常なほどの笑顔の坊主頭の男性。

正直言って怖かった。

ただほっとしたのは
身体を縛るような拘束具がみえなかったこと。
よじ登らなければ開けられないようになっている少し高い位置の窓に
格子のようなものがなかったこと。

まるで自分がこれから入る場所のように
くまなく見定めてる自分が少し可笑しかった。

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