痛みと距離

2004年4月16日 恋愛
彼の部屋に入るとまた違和感があった。
女の第六感というのは、こういうことなんだ。
久しぶりに入ったその場所は 彼の匂いがして彼そのものだったのに
異質な空気を放つものがそこにあった。

「カーテン・・・?」

長さが調節してある。
彼はまた違う女の子がきてすそをあげてくれたんだ、と笑っていた。
待ち針が打たれたままのカーテンを見ていたら
またムクムクと嫉妬の嵐が襲ってきた。

引きちぎるようにカーテンをはずしチクチクと縫っていたら 指先にちいさな痛みが走った。
指だけじゃない、気持ちもチクチク傷んでいた。

どうして?・・・・どうして?

答えもでないのに頭の中はそんなことでいっぱい。

そしていつも私がヤキモチを妬くと彼は決まってこう言う。
俺は誰のものでもないよ、それに君は結婚してる、と。

追いかければ、逃げる。
追いかけるのをやめようと思ったら
彼は私のすぐそばにいる。

いつでも私達の心の距離は一定で
つかず、離れずの状態でいるんだよね。

面接

2004年4月15日 恋愛
彼女にはもう会っていないと信じていたのに
その事実は意外にも彼の口から告げられた。
引越すにあたって住む部屋を決めなければいけないのは当たり前なのに
どうして彼は彼女に相談したんだろう。
どうして彼女と一緒に部屋を見に行ったりしたんだろう。
どうして どうして

私じゃなかったんだろう。

引越しの日に彼の部屋に一緒にいたのは私。
後にも先にも一回しかない「初めて」の瞬間は
私ではなく彼女なんだよね。
「手伝いに来て」とお願いされて出かけたけど、
私が到着した時にはもう部屋はある程度片付いていて。
そこには見慣れない女性がかいがいしく彼の世話を焼いていた。

彼のお母さん、だった。

中華街で昼食を取り、そのまま帰宅すると言う。
なぜだかよくわからないまま私も一緒に行くことに。
その時の私は彼女に嫉妬していて
彼の親に会うことの意味を全く意識していなかった。
彼女より一歩リードしてる、なんて
おかしな優越感にひたっていた。

伏線

2004年4月14日 恋愛
いつもと何も変わらない毎日の始まり。
彼がこっちに引っ越して来ることになって
私も心中穏やかではいられない。

電話もメールも頻繁にやりとりするようになり、
旦那も怪しんでる様子。
ご機嫌取りに旦那と久しぶりの外出をすることになった。

春の日差しの割には気温が高くて
歩いているうちに汗ばんできた。
自動販売機でジュースを買うことになり、私も迷っていると旦那が
「これってどんな味だった?」と、飲んだこともないジュースを指差す。
「え?そんなの飲んだことないけど・・?」と返すと
「嘘だ。車のゴミ箱にペットボトル捨ててあったよ?」と。

彼があの日捨てたボトルのことだ。

「・・・・。あぁーそれね。こないだ暑かった時に買って一気飲みしたから、
味なんて覚えてないよ。」と作り笑いをした。

彼がこっちに越してくるということは もっと危険が伴うんだ。
もし旦那に彼とのことがバレたり、離婚なんてことになったら彼とは別れることになる。

彼を失いたくない一心で嘘を重ねたのに

彼はその頃またあの子と会っていた。

ちいさな秘密

2004年4月13日 恋愛
私が横浜へ来た大きな理由は旦那の転勤、だった。
大きな問題を起こし、時期をずらしての転勤。
会社の計らいで、対外的には栄転という形にしてもらったが
実際は左遷だった。

その話は今まで私も避けてきた話題だったけど、
彼に隠し事したくなくて、私をなんでも知って欲しくて
考えながら話したんだった。

私にとっては消そうとしても消えない忌々しい過去。
今でも旦那と口論になると必ずと言っていいほど口をつき出てくる話で
もちろん事を起した本人も触れられたくない過去。
一生この人といる限り、いやそうじゃなかったとしても
忘れることのできない大きな出来事だと思っていたのに
第三者にしてみればそんなこと小さなことだったんだよね。

話終わって彼の顔を見たら
今までこんなに悩んでいた自分が小さくて
心が一気に軽くなったんだった。

この人に、出逢えて、よかった。

それから何日かして、内定の通知がきたんだったよね。

短い前髪

2004年4月12日 恋愛
先日面接を受けた会社から連絡があったらしい。
まだ内定ではないけど、詳しく話を聞きたいらしく、
またこっちに来ることになった。

この間逢った私とは少しでも違う顔を見せたくて前髪を少しだけ切った。
当日は彼と彼の友達と3人で会う予定。
実は彼の友達とは私も面識がある。相手が誰とは言ってないけど
彼の相談をよくしてた。
もちろんその友達には彼に逢うのは初めてだって嘘ついて。

久しぶりに逢った彼はスーツ姿だったせいか
なんだかとっても自信に満ちた感じがして
前と何も変わらない自分が少し恥ずかしくなるようで
「はじめまして」なんてうつむき加減に挨拶をした。

お決まりのカラオケ。
トイレに立った私を追いかけてきた彼は
「今日、どうする?」って聞いてきた。
「その時に考えるわあ」なんて軽い返事をしてまた部屋に戻ったけど
その後は彼の友達を巻くことしか考えてなくて。

結局3人でビジネスホテルに泊まって、彼の友達だけ仕事に行って。
さわやかな朝の情報番組の前で、久しぶりに抱き合った。

その時に今まで言えなかった心のつっかえを、
誰にも言えなくて苦しんでたあの日の出来事を、
笑いながら話せた気がする。

私が横浜に来た理由。
あなたに出逢うために私はきっとここへ呼ばれたんだよね。

小さな旅行

2004年4月11日 恋愛
就職の面接の後に彼に会う約束をする。
カフェで待ち合わせて手ごたえを聞く。
割と好感触だったようで一安心。
彼がこっちに就職したら、私と逢う回数も増えるのだろうか。
それとも、もう逢えなくなってしまうのだろうか。

また逢う約束をしてその日は別れた。

次の日。
初めて彼と過ごした夜には結構大きな地震があって、
そして昨日は火事があって電車が止まり、彼はこっちにこれなくて。
そして待ち合わせた駅は私の勘違いで一駅違ってて。

すれ違いばかりだねって笑いながらドライブへ出かけた。

今日の目的は足湯。
でも長い時間は取れない。タイムリミットは夕方だ。
私はいつものように会社に行く振りをして旦那と一緒に家を出て
いつもの駅で反対方向の電車に乗った。
彼に逢うために。

道に迷いながら、渋滞に巻き込まれながら湯河原へ向かった。
細い道で雨が降っていて、すれ違う車とぶつかりそうになりながら
なんとかその場所までたどり着いたのにその日はなんと定休日。
「普通、調べない?休みとか」なんて笑われながら来た道を戻ることに。

帰りに寄ったサービスエリアで彼はジュースを買って一気に飲み干し、
そのボトルを車のゴミ箱へ捨てた。

せっかくこっちに来たのに、何の思い出も作れなかったね。
そして面接、いい結果がでるといいね。

いつもの日常

2004年4月9日 恋愛
家に戻ると旦那がいた。
それは当たり前のいつもと同じ日常ではあったけど
とても違和感を感じた。

旦那は私が楽しそうだと不機嫌になる。
「俺が出張で疲れて帰ってきてるのに、どこほっつき歩いてるんだ」と
またいつもの調子で問い詰められる。

「一人旅をしてきた」とだけ言い、
今まで一人でなんて何も出来なかったはずの私だったのに
そんな言い訳をしてる自分がおかしかった。

そしてまた、いつもの日常が始まるかと思っていたのに・・・。

旦那は私と結婚してから
よく仕事を休むようになった。
旦那の実家に相談しても取り合ってもらえない。
私の実家でも、答えは同じ。
私が何度お願いしても、旦那の答えはいつも一緒。
「仕事行かなくても給料持ってきてるんだ!何が悪い!」、だ。

何を言っても無駄だ・・・。

そう思った瞬間から私達夫婦の会話はなくなった。
彼の大好きだという浜辺へ行った。
そこは本当にキレイで今でもはっきり覚えている。

私の視界で切り取られてしまうのが
本当にもったいなくて
どこまでも続く海岸線を見つめながら
どういうつもりで私をここに連れてきたんだろうと
彼の気持ちを探ってみたりした。

この景色を彼と一緒に見るのは
これが最初で最後になるんだろうなあ・・。

こうしている間にも時間は容赦なく過ぎていく。
もう帰らないと・・・。
旦那に対しての気遣いじゃない、
これ以上ここにいたら私は彼から離れられなくなる。
私を好きではないかも知れないこの彼なのに
どんどん惹かれはじめている。

今度は彼が私を見送る番。
何度も振り返るけどそこに彼はいない。
自分の自意識過剰さにおかしくなりながら
振り切るように新幹線に乗った。

遠くなる夜景が 街の匂いが
少しずつ薄くなってくるころに電話が鳴った。

「ちゃんと乗った?」
彼からだ。
もしかして今ホームに・・・?
急いで席を立ったけどすでに新幹線は発車している。

また自分が思い上がっているだけだと知り、少し笑った。

さくらいろ

2004年4月7日 恋愛
駅に向かう途中メールが入った。
「おいで。逢いたいよ」とたった一言。

彼が逢いたいと言ったのはこれが初めてのこと。
壊れそうなほど携帯を握り締めて新幹線に飛び乗った。
遠くなる夜景を見ながら、私が行くまでの何時間かの間に
彼の気持ちが変わってしまわないことを祈りながら
久しぶりに逢う彼の姿を想像しながらもどかしく過ごした。

「駅まで迎えに行くよ」とメール。
到着時間を伝え、化粧を直す。
さよならしたあの日から私は一つだけ決めていたことがある。
とびっきりの笑顔で彼に逢うこと。

小さな手鏡の中で笑ってみたりした。

改札をくぐると、懐かしい姿がそこに。
練習したとおりの笑顔を作ったのに
「会社の人がいるかもしれない」と足早に駅を後にする。
初めて彼の車に乗り、まだ咲かない桜の木の下へ。

「桜の花は・・・・いろ」
「え?」と振り返ると
「聞いたことない?桜の花は人のこころいろ、なんだって」
と、照れくさそうに言った彼。
「まだ少し早いからまださくらは咲かないね」と言う私に
「また今度だね」と笑う彼。

またって・・・言った?

また、彼に逢うために私がこの街に来るのはいつのことなんだろう・・・。
また、彼に逢いに来てもいいんだろうか・・・?

長い一日

2004年4月6日 恋愛
彼の元へ行く日が決まった。
旦那は札幌へ出張。もちろん平日。
朝からそわそわして一日中仕事が手につかない。

あと1時間・・・。

何度も何度も振り返りながら進まない時計にイライラする。
そんな時彼からメールがあった。
「急に会社の上司に呼ばれた。今日逢えないかもしれない。後でメールする」と。

何日も前から楽しみにしてたのに
今日だって長い一日過ごしてたのに

メールも約束もないまま新横浜へ向かった。
「ほかの子を抱いたのにどうしてすぐ私を抱けるんだろう。
好きじゃなきゃ、抱けないって言ったくせに・・・。」

答えはでなかったけど後悔はしていない、もちろん今でも。

昨日のことでも過去は過去。
彼は明日帰ってしまう、地元へ。
今つまらないことでこの時間をダメにしたくない、と
そのことばかり考えていた。
彼の腕の中で、体温を感じていられる喜びに感謝しよう。
そんなことを考えているうちに眠ってしまった。

彼とさよならするために駅へ向かう。
今度は泣かないで見送ろう、彼は私のことなんてなんとも思っていないんだから。
バイバイ、と手を振って見送った。
彼は一度も振り返らなかった。それが、悲しかった。

私も彼も離れた土地で新しい生活が始まった。
彼は転職をし、仕事にも慣れない、人にも慣れない環境が続いて
普段は決して言うことない弱音を吐いていた。

私にできることはなんだろう・・?

彼がさみしくないように一生懸命メールを送り続けた。
通勤時間に読めるように
昼食時間に読めるように
帰宅時間に読めるように
毎日毎日長いメールを打ち続けた。
話題はなんだっていい、彼がさみしくなければ。
メルマガとしか思ってくれなくてもいい、彼が読んでくれるなら。
そんな日がどれくらい続いただろう。

旦那の仕事も年度末にかけて忙しくなり、出張の日々が続く。

その時しか、ない。

初めての夜

2004年4月4日 恋愛
初めて彼と過ごす夜。
もしかして もしかしてとはやる気持ちとはうらはらに
彼はとってもマイペースだった。

おなかすいたな。。と出前を取る余裕ぶり。
私は食事なんてのどを通らない。
嘘をついてしまった事への後ろめたさ、
これからどうなっていくのか、
自分の思い切りの良さに迷ったり、感心したり。

そんな私を気遣ってか
「少し食べなきゃダメだよ、ほら、あーん」って食べさせてくれた。
食欲が無いだけできっとおなかはすいていたんだと思う。
口に含んだ瞬間なんだかとっても安心して
眠くなってしまった私。

「先に寝るね」と言ってはみたものの
彼の行動が気にならないわけはない。
薄目をあけてしばらく観察してたけど
ビデオを見たり携帯いじったりで、変化なし。
そのうち眠ってしまったんだった。

目を覚ましたのはそれからどれくらい時間がたってからだろう。
マットが沈んだからだと思う、彼が入ってきて。
「ごめん、起した?」って言う彼の腕の中にすっぽり入って彼の香りに包まれて・・。

重なる唇のぬくもりにうっとりとなりながら
忘れかけていた感覚が蘇る。
急に彼が男に見えて怖くなったけど、
力強さを感じてためらったけど、私は私の赴くままに
女を思い出していた。

そんな私を見ながら彼は
「実は昨日、同じ年の女の子を抱いたんだ」と私に告げた。

ずるいよ・・・こんなときに言うなんて・・・・。

二度目の嘘

2004年4月3日 恋愛
彼が帰ってしまうその日だというのに私は
いつもと何も変わらずに仕事をしていた。

10時ごろ彼から「これから帰るね」とメール。

そのメールを見たらたまらなく逢いたくなって
彼が止めるのも聞かずに会社を早退した。

あてもなく街を歩き、他愛のない話をして
ただ時間が過ぎていった。
もっとたくさん言いたいことがあったはずなのに・・・。

新幹線で帰るという彼を見送って桜木町の駅まで歩いた。

さみしくない、悲しくない、と言い聞かせていたはずだったのに
表情に出ていたみたい。
「そんな顔してたら帰れないよ」と私の頭を撫でたそのぬくもりで
私は思わず泣き出してしまった。
泣き止むまでそこにいてくれた彼。
今度は笑って見送ろうと思った。

乗り換えの駅までの路線を説明して、所要時間も伝える。
もう、さよならの時間だ。と自分に言い聞かせ彼の背中を見送った。

もし彼がエスカレーターで私の方を振り返ったとしたら・・・。
いや、振り返らなかったら・・・。

一瞬背中を向けたけど、次の瞬間にホームまで走っていた私。

地下鉄のテールランプが赤く小さくなっていく・・。
もう逢えないかもしれない。

最後に声だけでも聞きたくて
やっぱりプラットホームまで見送らせてと伝えたくて
夢中で電話をしたけどつながらない。
ここは地下。携帯は圏外。
携帯を握り締めたままエスカレーターを駆け上がって
電波が3本たつのと同時に彼からの着信があった。

「な・・・なんで?乗ってないの?ホームに・・ホームに・・・・」
と自分がパニックになっているのがわかる。
そんな私を知ってか知らずか彼は一言
「東横線って新横浜まで行ける?」だった。

新横浜まで彼を見送り、私は二つ目の嘘をつき、
この日、私達は一緒の夜を過ごすことになる。

彼はどう思っていたんだろう、
少なくても私は、彼と過ごす初めての夜を望んでいた。

きっかけ

2004年4月1日 恋愛
彼の泊まっているホテルへ送っていくことに。
途中でコンビニにより、駐車場を出ようとすると
ガガガッ!!と何かをこすった音。

車・・・ぶつかってる・・・

幸いお互いに(相手の方にも)ケガはなかったけど
警察が来るまで震えが止まらなかった。
家に帰ってなんて言おう、きちんと警察に話せるだろうか、
彼をこんなことに巻き込んでしまった罪悪感。
一瞬で真っ白になったり真っ暗になったりで
ただハンドルにもたれて震えてた。

「ねぇ・・・警察が来るまで手握っててくれる?」と言うと
黙って手を握ってくれた。
安心したはずなのにガクガク震えて次の瞬間には彼にしがみついていた。

「僕は口出しできないけど、あんまり覚えてないって言うんだよ」と
身体をそっと離し、警察に事情を説明し終わった後も力が抜けたまま、車を止めて動けずにいた。

まっすぐ彼を送るにも身体が言うことを聞かない。
やっとの思いで走り出したけど、寄り道してみなとみらいの夜景を見に行った。
そこで初めてのキスをした。

もし、あの時事故なんてなくて
普通に彼を送り届けていたとしたら
今の私達はなかったかもしれない。
震える手をとってくれたのも
震える身体を受け止めてくれたのも全部全部彼だった。

どうして近くにいないんだろう、
どうして明日帰ってしまうんだろう・・・。

彼に触れた夜

2004年3月31日 恋愛
離れたところに住んでいるはずの彼が
突然私の元へやってくることになった。
それはもちろん私に逢うためではなく、私はあくまでもついで、だ。
電話が鳴って、少し話をした瞬間、
何故だかとてもなつかしい匂いがした。

「行けたら電話するね。」と気のない返事をしながらも
私の手は香水に伸びていた。
鼓動を抑えるようにお気に入りの香水を一吹き。
深呼吸した私はにっこり笑って初めての嘘をついた。

車を飛ばし駅まで向かう途中、汗ばんでくるのがわかった。

海が好きだというので江ノ島まで車を飛ばす。
車から降りることを想定していなかった私は、2月だというのに薄手のセーター一枚しか着ていなかった。
「これ、着てなよ」と彼がかけてくれた上着から甘い香りがした。

彼に触れたわけでもないのに、とても幸せな気分。

その後起きるアクシデントなんて想像もしてなかったよね、お互いに。

出会い

2004年3月30日 恋愛
仕事の愚痴を言っても
「大した仕事もしてないくせに」と言われ
それでも会話を持とうとすれば
「そんなに嫌ならやめちまえ!俺の稼ぎの何が不満なんだ!」と
話にならない日々が続いた。

私の話し相手は目の前の旦那ではなく
顔も名前も知らないパソコンの向こうにいる誰かになっていった。
そこに安らぎを求めていたわけでも、失くしかけた愛情に似たものを求めていたわけでもなかった。

時間が過ぎればいい、ただそれだけだった。

そんなある日、彼を見つけたんだった。
今まで話した人はみんな私が女だと知ると
「どこに住んでる?これから会える?」が常套句だったけど
彼はそんなこと聞かなかった。

私は彼に出逢ってしまった。
たくさんの人の中から彼を見つけてしまったんだ。

すれ違い

2004年3月29日 恋愛
少しずつすれ違って行くような気がした。
旦那の言いなりで扶養控除範囲内での仕事。
責任もやりがいもなかったけど、でもこれが結婚生活だと思っていた。

「俺と対等な口をきくなら同じだけの給料持って来い」
そう言われてもそういうものだと思っていた。

そのうち少しずつ私の中で変化が生まれ、夜の生活を拒むようになった。
身体が拒否反応を示すようになり、気分も乗らない。
そんな私を見て旦那は
「嫁のクセに夫の処理も出来ないのか!」と罵倒した。

悲しいとかそういう感情は生まれなかった。
ただ、ただ悔しかった。
こんな人を旦那に選んだ自分に腹が立ち、浅はかだったと後悔した。

悲しくなんてない、ただ自分が情けなかった。

どうして

2004年3月28日 恋愛
結婚しているのにどうしてほかの人を好きになったりするんだろう。
結婚したら恋愛のスイッチは切れてしまうと思っていた。

結婚生活自体は、そう毎日ドキドキするものではなく、
それなりの毎日だった。
満足はしていなかったけど、これといって不満もなかった。
人はみな、それを幸せ、と呼んだ。
そうなのかな そうなのかな・・・?

毎日疑問符でいっぱいだった。
モノ扱いされているのに・・・。

私と旦那は結婚式を挙げていない。
ちょうど同居を始めた頃に私の父が胃がんで入院し、
同時期に旦那の転勤が決まったからだ。
とりあえず籍を入れ転勤し、私の父の回復を待とうとしていたら
旦那の母が急逝した。
結婚の記念は写真と結婚指輪だけ。
その写真だって私の髪の毛が跳ねたまま映っていたので
もうどこにしまったかわからない。指輪もはずしてしまった。

気持ちだから、と旦那の父がお祝いにお金をくれた。5万円。
旦那の母の入院費用で大変だったろうに。

そのことを旦那に話したら
「お前は5万で買われた女だから、俺の面倒を見るのは当たり前だ」と
吐き捨てるように言われた。

人はこれも幸せと呼ぶのだろうか。

気持ちの整理

2004年3月27日 恋愛
嬉しいけど君の気持ちには応えられない、
そう聞いてからもう2年経つ。
今でも彼を好きでいる自分がわからない。
今でも会いに行く自分がわからない。

私が彼に
好きになってくれなくてもいい、
誰かほかの人を抱いてもいい、
でもいつか
みんなが飽きてあなたを捨てるその日まで
私があなたの最後の女になるって
そう言ったせいなのかもしれない。

彼がほかの女を抱くのを
なんとも思ってないわけじゃない。
私にそうしたように
優しい声で名前を呼ぶのだって
許そうと思ったわけじゃない。

彼にそう言ったのは私が結婚しているから。

もし彼が私を求めても
彼の気持ちには応えられない私がそこにいた。
つい最近までは
忘れたい出来事や思い出したくない事ほど
強く頭に残っていた。
忘れたいと思えば思うほど記憶の中に刷り込まれていく感じ。

でもふと気がつけば
聞きたくないことを聞いてなかったかのように
キレイに記憶から消しさっている私がいた。

あの日の彼の一言が
ずーっと心にひっかかっている。

君の気持ちには応えられないと言った彼の言葉が
昨日のことのように思い出される。

その言葉の意味は
今も変わっていないのかなあ・・・。

1 2 3

 

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

日記内を検索