焦りすぎていた朝
2004年9月16日もうここにはいられない、
長くお世話になるつもりもなかったが
彼の言葉で決定的になるなんて。
状況はどんどん変わっている。
私は彼に甘えすぎていた。
昔たった一度もらっただけのメールを本気にしていた。
彼からきたたった一言の
「家出して一緒に暮らすか?(笑)」というメールを
握り締めて信じていた。
会社に着き、自分の状況を上司に淡々と報告した。
「家からの電話は繋がないで欲しい、そして辞めたと伝えて欲しい、と。」
私の思い通りに全て進むと思っていた。
それで時間が稼げると思っていた。
今日、明日中になんとか手を打たなければ。
最悪の事態を考え、自分が今すべきことはなんなのか。
仕事が一段落する10時くらいにゆっくり考えよう、と
朝一番の仕上がりの書類を持って階段を駆け上がった。
長くお世話になるつもりもなかったが
彼の言葉で決定的になるなんて。
状況はどんどん変わっている。
私は彼に甘えすぎていた。
昔たった一度もらっただけのメールを本気にしていた。
彼からきたたった一言の
「家出して一緒に暮らすか?(笑)」というメールを
握り締めて信じていた。
会社に着き、自分の状況を上司に淡々と報告した。
「家からの電話は繋がないで欲しい、そして辞めたと伝えて欲しい、と。」
私の思い通りに全て進むと思っていた。
それで時間が稼げると思っていた。
今日、明日中になんとか手を打たなければ。
最悪の事態を考え、自分が今すべきことはなんなのか。
仕事が一段落する10時くらいにゆっくり考えよう、と
朝一番の仕上がりの書類を持って階段を駆け上がった。
不協和音
2004年9月15日彼の家に向かえるのに気持ちがどうも晴れない。
会社の人まで巻き込んで嘘をついてしまったこと、
これから起こりえる全てのこと、不安。
そんな私の不安定な状態を彼はとっくに見抜いていた。
会話が途切れた瞬間に漏れる深いため息、
ふとした瞬間に見せる不安げな表情が彼をいらだたせていたようだ。
自分ではどうしていいかわからなかった。
一番安心できる場所で一番信頼している人と話をしたかっただけなのに
彼と視線も気持ちもすれ違い始めて来ている気がしてならなかった。
パソコンの画面に向かう彼に
他愛もない話題で無理やりこっちを向かそうとする。
「あーっもう!一体なんなんだよ!」と、大きな声で怒鳴られた。
ビックリする私に彼はたたみかけるように言葉を連ねる。
「話かけても上の空な返事だし、ため息ばっかりついて!」
こんな不安な時期だからこそ
優しくされたいと思うのは
わがままな私のエゴなのだろうか。
会社の人まで巻き込んで嘘をついてしまったこと、
これから起こりえる全てのこと、不安。
そんな私の不安定な状態を彼はとっくに見抜いていた。
会話が途切れた瞬間に漏れる深いため息、
ふとした瞬間に見せる不安げな表情が彼をいらだたせていたようだ。
自分ではどうしていいかわからなかった。
一番安心できる場所で一番信頼している人と話をしたかっただけなのに
彼と視線も気持ちもすれ違い始めて来ている気がしてならなかった。
パソコンの画面に向かう彼に
他愛もない話題で無理やりこっちを向かそうとする。
「あーっもう!一体なんなんだよ!」と、大きな声で怒鳴られた。
ビックリする私に彼はたたみかけるように言葉を連ねる。
「話かけても上の空な返事だし、ため息ばっかりついて!」
こんな不安な時期だからこそ
優しくされたいと思うのは
わがままな私のエゴなのだろうか。
膨らむ不安
2004年9月14日家には一切連絡を入れず、私は普段どおり会社へ向かう。
慣れない電車、読めない時間、
彼より1時間も遅く出たのに
始業時間の1時間も前に会社のそばまで来てしまった。
コーヒーを飲みながら少し考えてはみたものの
考えがまとまらない。
もしかしたら・・・まさか・・・自殺なんてないよ・・・ね?
そうなったら・・・玄関で首を吊ったままだとしたら・・・
朝から不安でたまらなくなった。
会社へ行き、普段どおりの業務をこなす。
始業からまもなく内線がかかってきた。
「ご主人からお電話です」と。
死んでなかった、と胸をなでおろし、
「いないって言ってくれる?」と総務にお願いをして受話器を置いた。
慣れない電車、読めない時間、
彼より1時間も遅く出たのに
始業時間の1時間も前に会社のそばまで来てしまった。
コーヒーを飲みながら少し考えてはみたものの
考えがまとまらない。
もしかしたら・・・まさか・・・自殺なんてないよ・・・ね?
そうなったら・・・玄関で首を吊ったままだとしたら・・・
朝から不安でたまらなくなった。
会社へ行き、普段どおりの業務をこなす。
始業からまもなく内線がかかってきた。
「ご主人からお電話です」と。
死んでなかった、と胸をなでおろし、
「いないって言ってくれる?」と総務にお願いをして受話器を置いた。
怯えた夜
2004年9月13日何も考えられないまま時間だけが過ぎて行く。
彼の家へ向かう電車に乗り込み、帰宅する疲れた顔の人たちに
私も一緒に紛れ込む。
窓に映る私の目は、自分でも怖いくらいにくぼんでいて
顔色が悪く映っている。
大きく息を吸って気持ちを切り替えた。
見慣れた街の風景なのに
今日はどことなく居心地が悪い。
彼の家でもそうだった。
いつもと何も変わらないはずなのに何故か落ち着かない。
招かれざる客の私に彼も戸惑っているのが見て取れる。
お互いに気を使えば使うほどギクシャクする。
何も考えたくない。
明日のために無理やり眠ろう。
明日になれば名案が浮かぶかもしれない。
ネットで部屋探しをするが金額が折り合わない。
無理すればいつか生活は破綻してしまうだろう。
それとなく冗談めかして言ってみた。
「ねぇ、あたしと一緒に住む?」と。
「は?なんでよ。」
思いのほか冷たい返事だった。
その夜彼と同じお布団で眠ることはなかった。
彼の家へ向かう電車に乗り込み、帰宅する疲れた顔の人たちに
私も一緒に紛れ込む。
窓に映る私の目は、自分でも怖いくらいにくぼんでいて
顔色が悪く映っている。
大きく息を吸って気持ちを切り替えた。
見慣れた街の風景なのに
今日はどことなく居心地が悪い。
彼の家でもそうだった。
いつもと何も変わらないはずなのに何故か落ち着かない。
招かれざる客の私に彼も戸惑っているのが見て取れる。
お互いに気を使えば使うほどギクシャクする。
何も考えたくない。
明日のために無理やり眠ろう。
明日になれば名案が浮かぶかもしれない。
ネットで部屋探しをするが金額が折り合わない。
無理すればいつか生活は破綻してしまうだろう。
それとなく冗談めかして言ってみた。
「ねぇ、あたしと一緒に住む?」と。
「は?なんでよ。」
思いのほか冷たい返事だった。
その夜彼と同じお布団で眠ることはなかった。
切れた糸
2004年9月12日誰にも気づかれないように平静を装って仕事を始める。
昼に携帯を解約しに行こうと思ったが、
ランチに誘われ後回しになった。
こっそり電源を入れると、着信のお知らせが数十件入っている。
他愛もない話をして気を紛らわせ
ただ、時間が過ぎるのを待った。
日が落ちるのと同時に私は携帯を解約した。
ショップの人の事務的な対応に
また、悲しくなった。
もしかしたら 後悔しているのかもしれない。
怖かった。
旦那の目も、これからの自分の事も
そして見えない彼の気持ちが一番怖かった。
昼に携帯を解約しに行こうと思ったが、
ランチに誘われ後回しになった。
こっそり電源を入れると、着信のお知らせが数十件入っている。
他愛もない話をして気を紛らわせ
ただ、時間が過ぎるのを待った。
日が落ちるのと同時に私は携帯を解約した。
ショップの人の事務的な対応に
また、悲しくなった。
もしかしたら 後悔しているのかもしれない。
怖かった。
旦那の目も、これからの自分の事も
そして見えない彼の気持ちが一番怖かった。
朝もやの中で
2004年9月11日小さなディスプレイをおそるおそる覗くと
予想していた通り旦那からの着信だった。
何もなかったようにいつもの時間に起きたのね、
寝てるはずの私がいなくてさぞびっくりしたことでしょうね。
テーブルの上の置手紙には気がついたのかしら?などと
旦那の行動を想像してみたりしていた。
カップの底にあるコーヒーを飲み干した瞬間
私は突然これからのことを考え始め
仕事、家庭、彼、親・・・・・そして一番はお金。
いろんなことを考え始めたら不安になってしまった。
勢いだけで出てきてしまった自分に
ほんとにこれでよかったのか?と問いかけてみる。
そんな時、彼からの着信があった。
これからのことにアドバイスをくれる。
ほんとは彼の元へ行きたかったのに、私からは言えない。
ウイークリーマンションへ行く、と言った私に彼は
「コストがかかるから、家が見つかるまでいてもいいよ。」と
そう言ってくれた。
素直に、そしてバカみたいにうれしかった。
この時の私はきっと
親でも会社の人でも誰でもなく
ただ彼に守ってもらいたかった。
ただ彼の声が聞きたかった。
旦那からの着信は1分と間をおかず立て続けに入ってきている。
携帯を解約する旨を彼に伝え、私は携帯の電源を切った。
予想していた通り旦那からの着信だった。
何もなかったようにいつもの時間に起きたのね、
寝てるはずの私がいなくてさぞびっくりしたことでしょうね。
テーブルの上の置手紙には気がついたのかしら?などと
旦那の行動を想像してみたりしていた。
カップの底にあるコーヒーを飲み干した瞬間
私は突然これからのことを考え始め
仕事、家庭、彼、親・・・・・そして一番はお金。
いろんなことを考え始めたら不安になってしまった。
勢いだけで出てきてしまった自分に
ほんとにこれでよかったのか?と問いかけてみる。
そんな時、彼からの着信があった。
これからのことにアドバイスをくれる。
ほんとは彼の元へ行きたかったのに、私からは言えない。
ウイークリーマンションへ行く、と言った私に彼は
「コストがかかるから、家が見つかるまでいてもいいよ。」と
そう言ってくれた。
素直に、そしてバカみたいにうれしかった。
この時の私はきっと
親でも会社の人でも誰でもなく
ただ彼に守ってもらいたかった。
ただ彼の声が聞きたかった。
旦那からの着信は1分と間をおかず立て続けに入ってきている。
携帯を解約する旨を彼に伝え、私は携帯の電源を切った。
震える声
2004年9月10日朝焼けの中大きな荷物を抱え
震えているのがわからないようにぎゅっと腕に力を入れた。
家には走り書きのメモを残してきた。
身の危険を感じました。探さないで下さい、と。
行き先も確認しないまま来たバスに乗り込むと
下を向いたまま終点まで行こうと心に決めた。
みな心なしか急ぎ足に感じるのは
平日の朝のせいだろうか。
私も人波に飲まれるように駅へ吸い込まれ
気がつくと会社のそばまで来ていた。
コーヒーショップに入り、あたたかいコーヒーを頼み
ゆっくり今までのこと、これからのことを考える。
昨日の夜のことを思い出すと震えが止まらない。
大きな荷物を持ったままでは目立ちすぎる。
駅のコインロッカーに無理やり詰め込んで
何事もなかったように出社しよう。
母に家を出た連絡をし、彼にもメールを入れる。
大きく深呼吸をして何事もなかったように出社しよう、
そう思った瞬間に電話が鳴った。
震えているのがわからないようにぎゅっと腕に力を入れた。
家には走り書きのメモを残してきた。
身の危険を感じました。探さないで下さい、と。
行き先も確認しないまま来たバスに乗り込むと
下を向いたまま終点まで行こうと心に決めた。
みな心なしか急ぎ足に感じるのは
平日の朝のせいだろうか。
私も人波に飲まれるように駅へ吸い込まれ
気がつくと会社のそばまで来ていた。
コーヒーショップに入り、あたたかいコーヒーを頼み
ゆっくり今までのこと、これからのことを考える。
昨日の夜のことを思い出すと震えが止まらない。
大きな荷物を持ったままでは目立ちすぎる。
駅のコインロッカーに無理やり詰め込んで
何事もなかったように出社しよう。
母に家を出た連絡をし、彼にもメールを入れる。
大きく深呼吸をして何事もなかったように出社しよう、
そう思った瞬間に電話が鳴った。
身体に傷がついた日
2004年9月9日ぼーっとしたままパソコンの電源を入れる。
何も考えられない状況の中、とりあえずHPの更新でもしようかと
真っ黒い画面を見つめていた。
ソフトを立ち上げ、一言二言打ち込むと
居間と寝室を分けるドアが開け放たれた。
「俺が寝るまで待ってたのか?嫌がらせか?あん?」
と怒鳴り散らす旦那。
「あなたがそっちに行けって言ったのよ・・・?」と
穏やかな口調で話したはずなのに
旦那の怒りは治まらないよう。
急いで電源を落とし、おそるおそる隣で眠った。
うとうととし始めた頃、また旦那の怒声で目が覚め、
ふと顔をあげると、いつの間にか起き出していた旦那が
今まで見たこともないような冷たい目で見下ろしていた。
「おい・・・」と言った声が耳に届く前に
足が何度も蹴り上げられ、肩を力任せに掴まれる。
「痛いよ・・やめ・・・」と腕を振り払う前に
「そんなに痛いのか?そんな顔するまで痛いのか?」と
顎を掴み上げられ、左右に振られる。
「ふぅーん、痛いんだ。」と、満足げな目と口調が
私を恐怖に落とし込んだ。
もう、この家にはいられない。
一睡もせず、荷物をまとめて朝焼けの中家を出た。
何も考えられない状況の中、とりあえずHPの更新でもしようかと
真っ黒い画面を見つめていた。
ソフトを立ち上げ、一言二言打ち込むと
居間と寝室を分けるドアが開け放たれた。
「俺が寝るまで待ってたのか?嫌がらせか?あん?」
と怒鳴り散らす旦那。
「あなたがそっちに行けって言ったのよ・・・?」と
穏やかな口調で話したはずなのに
旦那の怒りは治まらないよう。
急いで電源を落とし、おそるおそる隣で眠った。
うとうととし始めた頃、また旦那の怒声で目が覚め、
ふと顔をあげると、いつの間にか起き出していた旦那が
今まで見たこともないような冷たい目で見下ろしていた。
「おい・・・」と言った声が耳に届く前に
足が何度も蹴り上げられ、肩を力任せに掴まれる。
「痛いよ・・やめ・・・」と腕を振り払う前に
「そんなに痛いのか?そんな顔するまで痛いのか?」と
顎を掴み上げられ、左右に振られる。
「ふぅーん、痛いんだ。」と、満足げな目と口調が
私を恐怖に落とし込んだ。
もう、この家にはいられない。
一睡もせず、荷物をまとめて朝焼けの中家を出た。
酒の威
2004年9月8日ガツン!という衝撃で目が覚める。
足が重い。目が開かない。
突然の出来事に夢か現実かわからないまま
ぼんやりと浮かぶ影に目を凝らした。
片手にチューハイの缶を持ったまま
表情の窺えない旦那がそこに立っている。
私の足を蹴りながら何か叫んでいる。
「おい!どうせ自殺なんてできないと思ってるんだろ!
できねぇと思ってるんだろ!今からしてやるよ!
何か言い残すことはないか?俺は今から死んでやる!
寝たふりなんかしてんじゃねーよ!」
酔った勢いでふすまやドアを蹴り、
また冷蔵庫からお酒を取り出し、飲み続ける。
薬のせいで酔いが回るのが早いらしく
何度か倒れているようだった。
ふらつきながら寝室に入ると
「おい!俺が寝るんだからあっちいけよ!
嫌味ったらしく先に寝たフリなんかしやがって!
テレビでも何でも見てやりたいようにしたらいいじゃねぇか!」
と、私を揺り動かす。
寝ぼけたまま這うように寝室を出た。
足が重い。目が開かない。
突然の出来事に夢か現実かわからないまま
ぼんやりと浮かぶ影に目を凝らした。
片手にチューハイの缶を持ったまま
表情の窺えない旦那がそこに立っている。
私の足を蹴りながら何か叫んでいる。
「おい!どうせ自殺なんてできないと思ってるんだろ!
できねぇと思ってるんだろ!今からしてやるよ!
何か言い残すことはないか?俺は今から死んでやる!
寝たふりなんかしてんじゃねーよ!」
酔った勢いでふすまやドアを蹴り、
また冷蔵庫からお酒を取り出し、飲み続ける。
薬のせいで酔いが回るのが早いらしく
何度か倒れているようだった。
ふらつきながら寝室に入ると
「おい!俺が寝るんだからあっちいけよ!
嫌味ったらしく先に寝たフリなんかしやがって!
テレビでも何でも見てやりたいようにしたらいいじゃねぇか!」
と、私を揺り動かす。
寝ぼけたまま這うように寝室を出た。
私が私でなくなった日
2004年9月7日緊張が続いていたせいか
すぐに眠りにおちてしまったようだ。
すぐに旦那の怒鳴り声で目が覚めた。
「おい!最後の確認だ。本当に調停の手続きしたのか!?」
「うん・・・約束、だったでしょ?」
「わかった、ほんとなんだな?じゃあ俺は死ぬしかない」
もう、勝手にして・・・・。
今までもずっとこうだった。
泣いてもわめいても怒っても私の気持ちが変わらないと
この人はいつもこうして自殺のフリをする。
ビニールテープで首輪を作り、必ず私の見ている前で
恨めしそうな顔をしながら首を吊る真似をする。
今日も、そうだった。
自分の中にこれほどの気力が残ってるとは。
首を吊る真似事をしている旦那を突き飛ばし
「何で?何であたしの見てる前でするの?!
死んでからも一生後悔させてやろうと思ってんでしょ?
ねぇ、何なの?!」と
取り乱しながら旦那に詰め寄った。
予想以上の私の反応に旦那は驚いたようで
「俺・・俺・・もう・・・」と泣き崩れた。
「今日はもう、やめて。」と
また寝室に入って泣きながら眠りについた。
すぐに眠りにおちてしまったようだ。
すぐに旦那の怒鳴り声で目が覚めた。
「おい!最後の確認だ。本当に調停の手続きしたのか!?」
「うん・・・約束、だったでしょ?」
「わかった、ほんとなんだな?じゃあ俺は死ぬしかない」
もう、勝手にして・・・・。
今までもずっとこうだった。
泣いてもわめいても怒っても私の気持ちが変わらないと
この人はいつもこうして自殺のフリをする。
ビニールテープで首輪を作り、必ず私の見ている前で
恨めしそうな顔をしながら首を吊る真似をする。
今日も、そうだった。
自分の中にこれほどの気力が残ってるとは。
首を吊る真似事をしている旦那を突き飛ばし
「何で?何であたしの見てる前でするの?!
死んでからも一生後悔させてやろうと思ってんでしょ?
ねぇ、何なの?!」と
取り乱しながら旦那に詰め寄った。
予想以上の私の反応に旦那は驚いたようで
「俺・・俺・・もう・・・」と泣き崩れた。
「今日はもう、やめて。」と
また寝室に入って泣きながら眠りについた。
心に傷がついた日
2004年9月6日時間を計り、いつもより少し早めの帰宅にあたる
平日の午後5時。
何事もなかったように食事の支度をしよう、
事を起こしたことを悟られないように
いつもどおり振舞おう。
カチャ、と玄関を開けると
旦那の通勤用の革靴があった。
足音を忍ばせて部屋に入ると
寝室で横になっているようだった。
黙って着替えをしようとすると背後に気配を感じた。
振り返ると旦那が音もなく立っていた。
と、次の瞬間
「ほんとに調停起したのか!おい!どうなんだ!!」と
激しく肩を掴まれ揺さぶられる。
視線も合わさずに「そうね・・。」とつぶやけば
「なんでだ!どうしてだ!本当なのか?!」と
今度は自分の頭を抱え座り込んだ。
「だって休んだら調停起こすって言ったじゃない?
あなたは約束を破るけど、私は破らないわ。」と
自分でもぞっとするような冷たいトーンで言い放ち
「もう、疲れたの。」とだけ言い残し寝室に倒れこんだ。
酒を医者から止められているはずなのに
どんどん缶を開けている音がする。
缶をつぶし、何か聞き取れない奇声を発し、
次々空き缶が増えていく。
今日が早く終ればいい、と
キツク目を閉じた。
平日の午後5時。
何事もなかったように食事の支度をしよう、
事を起こしたことを悟られないように
いつもどおり振舞おう。
カチャ、と玄関を開けると
旦那の通勤用の革靴があった。
足音を忍ばせて部屋に入ると
寝室で横になっているようだった。
黙って着替えをしようとすると背後に気配を感じた。
振り返ると旦那が音もなく立っていた。
と、次の瞬間
「ほんとに調停起したのか!おい!どうなんだ!!」と
激しく肩を掴まれ揺さぶられる。
視線も合わさずに「そうね・・。」とつぶやけば
「なんでだ!どうしてだ!本当なのか?!」と
今度は自分の頭を抱え座り込んだ。
「だって休んだら調停起こすって言ったじゃない?
あなたは約束を破るけど、私は破らないわ。」と
自分でもぞっとするような冷たいトーンで言い放ち
「もう、疲れたの。」とだけ言い残し寝室に倒れこんだ。
酒を医者から止められているはずなのに
どんどん缶を開けている音がする。
缶をつぶし、何か聞き取れない奇声を発し、
次々空き缶が増えていく。
今日が早く終ればいい、と
キツク目を閉じた。
人として
2004年9月5日ビルの2階にある喫茶店に入った。
平日のオフィス街はたくさんの人がいる。
ぼんやり冷たいコーヒーを飲みながら
今日一日のことを振り返る。
夢なのか現実なのか
自分の判断や決断に間違いはなかったか、
考えても考えても答えは出ない。
段々薄くなっていくコーヒーを見て
規則的に流れて行く人波を見て
こんな平日に一時の感情で
大変なことをし始めようとしている自分が
少し、怖くなった。
平日のオフィス街はたくさんの人がいる。
ぼんやり冷たいコーヒーを飲みながら
今日一日のことを振り返る。
夢なのか現実なのか
自分の判断や決断に間違いはなかったか、
考えても考えても答えは出ない。
段々薄くなっていくコーヒーを見て
規則的に流れて行く人波を見て
こんな平日に一時の感情で
大変なことをし始めようとしている自分が
少し、怖くなった。
意思に任せて
2004年9月4日事務的に進行して行く。
もっと私の話を聞いて欲しいのに
淡々と調停の日時が設定されていく。
「激昂して手を上げたり等何か気をつけることはありませんか?」
と 聞かれふと我に返る。
「彼は・・・人に・・・いや私に手をあげる、と言う事よりも
何もかも嫌になって自殺をほのめかしたりするような人なんです。」
そう伝えると、調停の日時が少し早まった。
家庭裁判所を出て振り返ると
人がいるはずなのにひっそりとしていた。
前を見ると首都高から降りてくる車の波が
いつもよりもゆっくり流れているように感じた。
彼に電話をし、調停の手続きをし始めたことを伝える。
信じていないような つかみ所のない返事に少し不安を覚えた。
もっと私の話を聞いて欲しいのに
淡々と調停の日時が設定されていく。
「激昂して手を上げたり等何か気をつけることはありませんか?」
と 聞かれふと我に返る。
「彼は・・・人に・・・いや私に手をあげる、と言う事よりも
何もかも嫌になって自殺をほのめかしたりするような人なんです。」
そう伝えると、調停の日時が少し早まった。
家庭裁判所を出て振り返ると
人がいるはずなのにひっそりとしていた。
前を見ると首都高から降りてくる車の波が
いつもよりもゆっくり流れているように感じた。
彼に電話をし、調停の手続きをし始めたことを伝える。
信じていないような つかみ所のない返事に少し不安を覚えた。
冷たいコンクリートの空間で
2004年9月3日地図を頼りにそこへ向かうと
ひんやりとした空間に息を飲んだ。
総合受付の窓口に向かい、今日の意志を告げる。
「離婚調停ですね?初回の相談ですか?」
事務的な口調で淡々と説明を受ける。
銀行の窓口のような整理券を機械から引き出し、
長いすに腰掛けて待つ。
顔色の悪い人、眉間に皺が寄っている人、
弁護士らしき人と相談してる人。
小さな部屋なのにまるで騒がしい場所で話しているかのように
大きな声で同じことを繰り返す人。
ここも、ある意味異空間なのかもしれない。
ひんやりとした空間に息を飲んだ。
総合受付の窓口に向かい、今日の意志を告げる。
「離婚調停ですね?初回の相談ですか?」
事務的な口調で淡々と説明を受ける。
銀行の窓口のような整理券を機械から引き出し、
長いすに腰掛けて待つ。
顔色の悪い人、眉間に皺が寄っている人、
弁護士らしき人と相談してる人。
小さな部屋なのにまるで騒がしい場所で話しているかのように
大きな声で同じことを繰り返す人。
ここも、ある意味異空間なのかもしれない。
心残り
2004年9月2日ため息だけを残し家を後にした。
会社につくなり部長の元へ走り出し
半休の届けを出した。
もう我慢できない。
松川さんが今月いっぱいで退職するらしい。
噂が私のところまで回ってきた。
私と松川さんの関係を知る人は、みな口々に
「よかったね。我慢したかいがあったね。」って
励ましにきてくれた。
いつか仕返ししてやろうと思っていた。
今は無理でもこの先何年かかってでも
ねじ伏せてやろうと思っていた。
でも辞めるとわかった今は
何故だか彼女が小さく見えた。
それと同時に仕返しなんて考えていた自分の方が
浅ましく、小さく思えてきた。
「私が辞めた後にどうするつもりですか!」と
強く言われても私にはもう何も聞こえない。
私にはどうしても今日
やらなければいけないことがある。
会社につくなり部長の元へ走り出し
半休の届けを出した。
もう我慢できない。
松川さんが今月いっぱいで退職するらしい。
噂が私のところまで回ってきた。
私と松川さんの関係を知る人は、みな口々に
「よかったね。我慢したかいがあったね。」って
励ましにきてくれた。
いつか仕返ししてやろうと思っていた。
今は無理でもこの先何年かかってでも
ねじ伏せてやろうと思っていた。
でも辞めるとわかった今は
何故だか彼女が小さく見えた。
それと同時に仕返しなんて考えていた自分の方が
浅ましく、小さく思えてきた。
「私が辞めた後にどうするつもりですか!」と
強く言われても私にはもう何も聞こえない。
私にはどうしても今日
やらなければいけないことがある。
めざましの鳴る時間
2004年9月1日目が覚めて時計を見ると
まだ起きる時間ではなかった。
もう少し眠ろう、と目を閉じた瞬間に
けたたましくベルが鳴った。
もう、こんな時間になってたんだ・・・。
カレンダーを見ると頭痛がした。
身体の不調も感じる。
指を折って数えてみると、もう5ヶ月
・・・・・生理がなかった。
何かが私の中で変わってきていた。
イライラし、少々のことでヒステリックになる自分がいた。
やっとの思いで身体を起こすと
体温計を咥えた旦那がこっちを見ている。
「熱があるんだ・・・・今日は休む。ご理解下さい」
理解!?
わからなかった。
まだ起きる時間ではなかった。
もう少し眠ろう、と目を閉じた瞬間に
けたたましくベルが鳴った。
もう、こんな時間になってたんだ・・・。
カレンダーを見ると頭痛がした。
身体の不調も感じる。
指を折って数えてみると、もう5ヶ月
・・・・・生理がなかった。
何かが私の中で変わってきていた。
イライラし、少々のことでヒステリックになる自分がいた。
やっとの思いで身体を起こすと
体温計を咥えた旦那がこっちを見ている。
「熱があるんだ・・・・今日は休む。ご理解下さい」
理解!?
わからなかった。
憂鬱な一日
2004年8月11日帰宅すると旦那が床に倒れていた。
「・・・まただ。」と思った私は
声もかけず、何もなかったように食事の支度を始める。
私が包丁を持ち、食事の支度を始めたのがわかると
のっそりと起きてきてまたあの湿った視線で見つめているのがわかる。
「俺・・・俺・・・もう・・・」
そういい始めた瞬間に脱力する私。
いつもこうだった。
前の日から巧妙に演技をする旦那。
こうする時は決まって次の日休みをとる。
早めに食事を摂らせ、薬を飲ませ寝かしつける。
でもきっと明日は・・・・。
先日の約束を 旦那は覚えているのだろうか。
これからの俺、はその程度のものなのか。
あなたの中の私の存在は
疲れに負けてしまうほど
どうでもいい存在なのだろうか。
わざとらしい咳が鼻につく。
「・・・まただ。」と思った私は
声もかけず、何もなかったように食事の支度を始める。
私が包丁を持ち、食事の支度を始めたのがわかると
のっそりと起きてきてまたあの湿った視線で見つめているのがわかる。
「俺・・・俺・・・もう・・・」
そういい始めた瞬間に脱力する私。
いつもこうだった。
前の日から巧妙に演技をする旦那。
こうする時は決まって次の日休みをとる。
早めに食事を摂らせ、薬を飲ませ寝かしつける。
でもきっと明日は・・・・。
先日の約束を 旦那は覚えているのだろうか。
これからの俺、はその程度のものなのか。
あなたの中の私の存在は
疲れに負けてしまうほど
どうでもいい存在なのだろうか。
わざとらしい咳が鼻につく。